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外壁塗装を始める前に不安なのが、塗装作業中の臭いの発生と、それによる不快感や健康への影響です。
ご自宅や近隣に赤ちゃん・妊娠中の方・ペットがいる場合、とくに気を使うのではないでしょうか?
本記事では、外壁塗装を控えた方が、臭いが原因で起こるご近所や家庭内でのリスクを最大限なくし、安心して塗装工事が始められるようになる知恵を、多数解説しています。
外壁塗装中にできる臭い対策
塗装中、家の中にどうしても届いてしまう臭いは対策グッズで軽減したり、臭いを追い出しやすい換気方法を行うなどで軽減しましょう。
①活性炭入りマスクで対策
臭い対策にマスクを使う方は多いと思いますが、活性炭入りのマスクは臭いをブロックする効果が高く、とくにオススメです。
ドラッグストアやホームセンター、ネット通販などで50枚1,100円程度から購入できます。
②有機溶剤用の消臭スプレーを使う
塗料の臭いは強いため、普通の部屋用消臭剤や芳香剤ではなかなか解消しません。
塗装作業中の刺激臭には、原因成分である「有機溶剤」の消臭を目的に開発された消臭剤が非常に有効です。
おすすめの商品は2つあります。
「デオドールVOC用ウェットスプレー」
塗料の臭いによく悩まされるプラモデル愛好家が、塗装作業後によく使っている商品です。
有機溶剤用の消臭スプレーとしては、価格が手頃で量も十分あり、コストパフォーマンスに優れています。
商品ページ:「日本デオドール VOC用ウェットスプレー 300ml」(2,420円~)
「ピュアティe」
中古車ディーラーが車内の消臭に使ったり、化学工場の中でも使われることのある、業務用の消臭剤シリーズの商品です。
その道のプロが使うだけあり、効果は強力です。塗料臭の対策には「ピュアティe」を選びましょう。
商品ページ:「ピュアティe」(4,400円~)
③「ベーキングアウト」式換気を行う
塗料の臭いを室内から追い出すには「ベーキングアウト」という換気方法がオススメです。
ベーキングアウトとは、室温をできるだけ上げたあと、扇風機や換気扇、サーキュレーターなどを使って強制的に換気する方法を方法を言います。
手順は以下のとおりです。
- 室内を締め切る
- 暖房をかけ、室温をなるべく上げる
- 扇風機などを窓や扉に向けて作動させる
- 暖房を切る
- 窓や扉を開け、部屋から出る
外壁塗装の臭気の原因である「VOC」は空気より重く、下側に淀んでしまうので、通常の換気だけでは臭いを追い出せないことがあります。
しかし、ベーキングアウトを行うことで、効率的に臭いのもとを外へ逃がすことが可能です。
なお、ベーキングアウトを行う際は、室内にいると危険なので、部屋から出ておく必要があります。
外壁塗装の前にできる臭い対策
まだ塗装工事は始まっていないけど、臭いの影響が今から不安…という方もいらっしゃるかもしれません。
外壁塗装がはじまる前にできる臭い対策は、大きく分けて2つあります。
- 臭いの少ない塗料を選ぶ
- 塗装作業の日数を少なくする
前者の「臭いが少ない塗料」には、水性塗料全般が当てはまります。
一方で、後者の「作業日数を少なくする」ことも、臭いに悩まされる期間の短縮につながるので、意外に重要です。
①水性塗料を使って塗装する
水性塗料は、油性(溶剤系)塗料に比べて、ほとんど臭いがありません。
外壁塗装中の臭いを抑えたいのであれば、水性塗料を使うべきです。
塗料から出る刺激臭のもとは、シンナーなどの「VOC(揮発性有機化合物)」という物質です。
このVOCが、油性塗料には多く含まれているのですが、水性塗料にはほとんど含まれていないため、臭いの差があるのです。
環境省および日本建築材料協会の調べでは、水性塗料に含まれるVOC量は、油性(弱溶剤・強溶剤)塗料の5分の1~10分の1となっています。
塗料の種類と臭いの届く範囲
塗料の種類 | 臭いの気になる範囲 |
---|---|
水性塗料 | 塗装をしている敷地内まで |
弱溶剤系塗料 | 1軒隣まで |
強溶剤系塗料 | 同じブロック内まで |
臭いの届く範囲には、風向きや嗅覚の個人差も関係しますが、目安としては上記のようになります(監修者である塗装施工店へのヒアリングによる)。
「水性塗料と油性塗料」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「水性塗料と油性塗料の違いとメリット・デメリットは?」
②外壁以外の部位も同期間中に塗装する
塗装作業の日数を短縮するために、屋根や雨樋などの塗装を同じ期間に行なうことをオススメします。
外壁塗装には通常10日間前後かかりますが、日数にほとんど短縮の余地がありません。
理由は、塗る工程だけでなく、塗料を乾燥させる時間をしっかりとらないと、将来雨漏り等が発生するからです。
そこで考え方を変え、いずれ行うことになる屋根や雨樋などの塗装を、同じ期間に済ませてしましょう。
屋根や雨樋の塗装を、数年後にまだ足場を立てて塗るよりは、十年単位の長い目で見た場合に作業日数が少なくなり、塗装の臭いに悩まされる期間が大幅に日数るはずです。
「屋根塗装」「雨どい塗装」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「屋根塗装の費用相場は?見積りの見方や工事方法・屋根材の選び方も解説」
>>「雨どい塗装はしなくていい?雨どいのベストな取り扱い方法を解説します!」
外壁塗装の相場を知って適正価格で塗装しよう
外壁塗装をする前に、まずは「自分の家の塗装の相場はいくらなのか」を確認しておきましょう。
外壁塗装は詐欺が多く、手抜きに気づきにくい工事です。
「100万円でできる工事に150万円も払ってしまった・・・」ということが珍しくありません。
事前に知識をつけておかないと、知らずしらずのうちにお金を騙し取られてしまうのです。
以下の記事では外壁塗装の費用相場と費用の決まり方を解説しています。
外壁塗装にかかる費用について知り、悪徳業者に騙されないようにしましょう。
外壁塗装の臭いにまつわる質問
そもそも外壁塗装の臭いの原因は?
外壁塗装中に漂う臭いの原因は、「シンナー」です。
外壁塗装に用いる塗料には、油性塗料と水性塗料という分類があります。
このうち、油性塗料を利用する場合はシンナーで塗料を希釈しなければなりません。
油性塗料で塗装をする場合は、塗料にシンナーが多く含まれることになり、工事時にシンナーの臭いが漂うのです。
また刺激臭が発生するのは、塗装作業を行う「下塗り」「中塗り」「上塗り」の約3日間となります。
※「水性塗料」を利用する際には、シンナーで希釈する必要がないため、溶剤による刺激臭はほとんどありません。
乳児・妊婦・ペットがいる家庭は特別な対策が必要?
乳児は化学物質の影響を受けやすく、また、妊婦が有機溶剤の有害成分を摂取すると、胎児に悪影響を及ぼす危険性があります。
人間よりも嗅覚の鋭いペットは、刺激臭を感じやすく、不穏の要因となる可能性が高いです。
臭いによる症状は、めまい、食欲不振、皮膚の痒みなどがありますが、個人差・個体差があり一概には言えません。
小さいお子様やペットは、塗装中の臭いがキツくても自分で訴えることができないことを考慮すると、特に強い臭いが発生する「下塗り」「中塗り」「上塗り」の3日間は下記のような対策をしておくと安心でしょう。
- 子ども・ペットの身体にやさしい消臭剤を使う
- 一時的に住まいを移す
- ペットをホテルに預ける
臭いは近隣まで届く?
結論から申し上げますと、臭いは近隣にまで届く可能性は十分あります。
外壁塗装の工事中は、メッシュシートなどと呼ばれるネットで家全体を覆いますが、それでも家の立地条件などによっては臭いが近隣まで届いてしまうこともあります。
トラブルを避けるために、工事が始まる前までに挨拶周りを済ませておくことがとても重要です。
- 工事の開始予定日、終了予定日
- 作業開始時刻、終了時刻
- 土日祝日に作業を行うかどうか
- 臭いがするか、どんな臭いがどの程度漂うか、何日間ぐらい臭うか
- 音はするのか、どの程度の音か、何日間ぐらいうるさい
- 業者の車はどこに停めるか、その間通行はできるか
- 水や塗料が飛んでいくことはあるか
- 万一、家や家財を汚したり、車が邪魔な場合は、どこに連絡すれば早く対応できるか
また、マスクやなどの臭い対策用品を、挨拶の品として持参してもよいでしょう。
最近は「ご近所への挨拶回りはお任せください」という心づよい業者も多いですが、やはり塗装の依頼主であるあなた自身も挨拶に同伴しましょう。
ご近所としても、業者に加えて施主本人も来たほうが誠意が伝わりますし、なにかあった時にトラブルに発展する確率もぐっと下がります。
外壁塗装の臭いが引き起こす体への影響
外壁塗装の際に漂う刺激臭は、人体に対し、少なからず悪影響を及ぼします。
原因は塗料に含まれる「有機溶剤」で、有機溶剤の継続的吸入により、以下のような健康被害が起こる可能性があります。
部位 | 健康被害の例 |
---|---|
目 | かすみ、焦点が合わなくなる、視力の低下、眩しさ、涙が出やすくなる |
耳 | かゆみ、痛み、耳鳴り、中耳炎、めまい |
鼻 | 鼻水、鼻づまり、かゆみ、痛み、鼻血 |
口・喉 | 乾燥、よだれ、味覚障害、かゆみ、痛み、咀嚼力の低下 |
呼吸器 | 咳、呼吸が浅くなる、ゼーゼーという呼吸音 |
消化器 | 下痢、吐き気、痛み、圧迫炎、炎症 |
皮膚 | 湿疹、かゆみ、痛み、多汗 |
筋肉・関節 | 筋肉痛、関節痛、各部位のコリ |
精神・神経 | 鬱、不眠、思考力の低下、食欲減退、頭痛 |
このように、外壁塗装の際の臭いによって引き起こされる健康被害は多岐に渡ります。
実際、厚生労働省では、日常的に塗料を使用する業務に従事する方には、「濃度の測定・作業員のマスク着用・特殊健康診断」などを義務づけています。
これは、有機溶剤を長期間吸入して、人体に悪影響を与えないためです。
ただし、一時的な吸入ならほとんど問題ありません。
外壁塗装の刺激臭を長時間にわたってに吸入すると危険ですが、一時的かつ少量の吸入なら、大きな心配は無いと考えて良いでしょう。
まとめ
外壁塗装の際の臭いは、多かれ少なかれ人体に悪影響を与えます。
少量の吸入であれば問題有りませんが、大量に吸入すると、大きな健康被害が起こる可能性もあります。
特に、化学物質の影響を受けやすい乳幼児やペットをお連れの方や、妊娠中の方は、あらかじめ対策をしておくことが大切です。
事前の準備をしっかり行って、安全な外壁塗装をしましょう。