一般社団法人 住宅瑕疵担保保険協会へインタビューさせていただきました

  • 【更新日】2021-12-01
一般社団法人 住宅瑕疵担保保険協会へインタビューさせていただきました

一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会について伺いました

今回は一社団団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会の中村 達人様にインタビューをさせていただきました。

Q1.一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会はどのような目的をもって結成された協会でしょうか?

本会は、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)に基づき指定を受けた住宅瑕疵担保責任保険法人(保険法人)が実施する各種瑕疵保険の普及啓発、住宅事業者や消費者からの各種相談の受付及び保険制度の適切かつ安定的な運営を通じて、保険制度及び保険法人に対する信頼性の向上、住宅事業者による住宅の瑕疵担保責任の履行の推進及び消費者の保護を図ることを目的として、平成20年(2008年)12月に設立された団体です。

Q2.瑕疵(かし)保険とは、どのような保険なのでしょうか?

瑕疵保険とは、住宅事業者(工事業者や売主など)が、請負契約や売買契約に基づいて引渡し後に見つかった住宅の欠陥(設計ミスや施工ミス)について保証する(瑕疵担保責任または契約不適合責任を負う)場合にお使いいただく保険です。
保険金の支払い対象部分に関する欠陥の補修などを行った場合に、その費用を住宅事業者が請求することにより保険金が支払われます。万が一、住宅事業者が倒産等により補修などができない場合には、住宅購入者が請求することにより直接保険金が支払われるものです。

Q3.1号保険と2号保険の違いを、わかりやすく教えてください。

1号保険とは、新築を供給する住宅事業者が、住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品確法)に基づいて構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分を引渡し後10年間、住宅取得者に保証する場合にお使いいただく保険です。
建設業許可を保有して新築工事を行う住宅事業者または宅建業免許を保有して新築住宅を販売する住宅事業者は、住宅取得者が宅建業者以外の者(一般消費者)の場合、1号保険に加入するか供託金を納付する、いずれかの資力確保措置を取ることが住宅瑕疵担保履行法により義務付けられています。
2号保険は、住宅瑕疵担保履行法の資力確保義務を負わない住宅事業者が任意で使うことのできる保険です。2号保険の種類は、2021年11月現在以下の通りです。

(1)新築2号保険

以下のいずれかの方がお使いいただけます。
-建設業許可を保有しないで新築工事を行う住宅事業者
-宅建業免許を保有しないで新築住宅を販売する住宅事業者
-新築工事の完了から1年以上経過して引渡しをする住宅事業者(工事請負業者)
-新築工事の完了から1年以上経過して販売を行う(売買契約を締結する)住宅事業者
-買主を宅建業者として新築住宅を販売する住宅事業者

(2)リフォーム工事瑕疵保険

対象住宅の規模が階数3以下かつ延床面積が500㎡未満で、保険の対象となる部位のリフォーム工事(外壁塗装、耐震改修工事、内装工事、水回り工事など)を行う住宅事業者

(3)大規模修繕工事瑕疵保険

対象住宅の規模が階数3以上又は延床面積が500㎡以上で、保険の対象となる部位の大規模修繕工事(マンションの屋根防水工事、タイル張替工事など)を行う住宅事業者

(4)既存住宅売買瑕疵保険(個人間売買タイプ)

対象住宅の売主が宅建業者以外の者であり、買主に対して構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分等の不具合に関して保証を行う検査事業者又は仲介事業者

(5)既存住宅売買瑕疵保険(宅建売タイプ)

対象住宅の売主であって、宅建業法第40条の規定に基づいて買主に対して構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分等の不具合に関して保証を行う宅建業者

(6)延長瑕疵保証保険

住宅品確法の保証期間(新築住宅の引渡しから10年)を経過する住宅の点検等を行い、住宅品確法の保証期間を経過した後も保証を継続することを保証書により住宅所有者に約定した住宅事業者

Q4.瑕疵(かし)保険では、どのような内容までが保証されるのでしょうか?

新築向け瑕疵保険(1号保険、新築2号保険)及びQ2の(6)延長瑕疵保証保険では、住宅品確法に定める構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分の瑕疵(欠陥)を保証の対象としています。
Q2の(2)リフォーム工事瑕疵保険と(3)大規模修繕工事瑕疵保険に関しては、基本的には構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分を含む工事対象部位の瑕疵(欠陥)を保証の対象としています。
Q2の(4)既存住宅売買瑕疵保険(個人間売買タイプ)と(5)既存住宅売買瑕疵保険(宅建売タイプ)に関しては、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分の瑕疵(欠陥)を対象としますが、オプションで住宅設備(給排水設備、電気設備、ガス設備等。メーカーの製造物責任の範囲を除く)を対象とすることもできます。

Q5.瑕疵(かし)保険では、いくらまで保証されるのでしょうか?

1号保険および新築2号保険では、1住戸あたり2,000万円が保険金の支払限度額になります。ただし、保険法人によってはオプションで支払限度額の引き上げが可能です。
2号保険では、保険の種類によって支払限度額はさまざまです。例えば、リフォーム工事瑕疵保険では、工事請負金額以上の保険金支払限度額が確保されています。詳しくは各保険法人のホームページ等でご確認ください。

Q6.瑕疵(かし)保険に加入するための条件はあるのでしょうか?

加入する保険の種類に応じて、保険を申し込む前に保険法人への届出または登録が必要となります(保険法人によっては、保険の申込の有無に関わらず届出料または登録料がかかります)。
また、対象住宅の工事着手前や引渡し前に保険の申込をする必要があり、保険の現場検査に適合する(不具合が見受けられないこと)ことが必要です。
保険の種類や保険法人によって、現場検査の基準が異なりますので、詳しくは保険法人のホームページ等でご確認下さい。

Q7.瑕疵(かし)保険に加入するメリット・デメリットについて教えてください。

保険に加入するメリットは以下の通りです。
(1)自社の保証を国の制度がバックアップしていることをアピールできるので、顧客の信頼感や安心感の獲得につながります。
(2)保険法人の現場検査員が施工中や施工後に検査をするので、第三者により施工のチェックを受けていることを顧客にアピールできます。
(3)高額なフルリフォームなどでは万が一の修理費用は何百万円もかかる場合がありますが、そうしたキャッシュで予め用意しておく必要がありません。
保険のデメリットは以下の通りです。
(1)見積り上、工事価格や販売価格が少額の場合、保険料や検査料の割合が増えるため、顧客に転嫁しにくい。
(2)瑕疵保険は、請負契約や売買契約における住宅事業者の瑕疵担保責任や契約不適合責任をカバーする保険のため、保険の申込は原則として顧客との契約締結ごとに行う必要があります(年間の包括契約が存在しない)。

瑕疵(かし)保険の申し込みについて教えてください。

Q8.保険契約の手続きはどのように行うのでしょうか?

(1)加入する保険の種類に応じて、保険を申し込む前に保険法人への届出または登録をします(実際の保険利用の有無に関わらず必要です。年単位)。
(2)請負契約または売買契約の締結の際に保険の申込をします。
対象住宅の工事完了後や引渡し後に保険の申込はできません。
(3)保険法人が現場検査を行います。検査基準に適合しない箇所があれば、現場で指摘をして改修等をお願いすることになります。
(4)検査基準に適合しているまたは不適合箇所の是正がされた場合には、保険法人は保険の引受を行い、保険証券(事業者向け)と付保証明書(発注者または住宅取得者向け)を発行します。不適合のままでは保険の引受はできません。
保険の種類や保険法人に応じて、現場検査のタイミングや基準が若干異なる場合があるので、詳しくは各保険法人のホームページなどをご確認下さい。

Q9.瑕疵(かし)保険を使用する際の手続きはどのように行うのでしょうか?

(1)住宅事業者が保証の対象とする部位の不具合(保険の対象となる部位の不具合)が発生した場合、発注者や住宅取得者から修補の依頼が来ます。
(2)住宅事業者は、自社の保証規定と瑕疵保険の約款に従い、不具合が自社の保証責任の範囲であるか確認し、保証責任の範囲である場合には修補費用等の見積りを作成して、保険法人に保険事故の報告をします(様式等は各保険法人にお尋ねください)。
(3)保険法人が、修補工事の内容や金額について査定をします(不具合の内容や修補金額によっては、保険法人の損害調査員が現場調査を行う場合があります)。
(4)保険法人の保険金支払予定額(査定金額)を了解したら、修補工事を着手します。
(5)修補工事完了後、保険法人に保険金の支払い請求書を送付します。保険法人は受付完了後、住宅事業者に保険金を支払います。

Q10.瑕疵(かし)保険に加入する前、相談したいときはどこに問い合わせると良いでしょうか?

保険制度に関する一般的なお問合せについては、弊会が承ります。個別の保険のお申込手続きや保険の内容、保険料等については、各保険法人にお尋ねください。
(一社)住宅瑕疵担保責任保険協会のホームページ
https://www.kashihoken.or.jp/

住宅リフォームを考えている方に向けてコメントをお願いします

Q11.リフォームを業者に依頼するとき、瑕疵(かし)保険に加入している業者を選んだ方が良いのでしょうか?

瑕疵保険に加入している住宅事業者は、自社の保証を国の制度である保険制度で裏支えしているので、万が一リフォーム工事の設計ミスや施工ミスがあった場合でも、しっかり修理対応していただくことが期待できます。
特に高額なリフォームとなる耐震改修や外壁塗装、内外装含めたフルリフォームの場合、施工技術のみならず、万が一に備えた保証内容も重要になりますので、手厚い保証を行っている住宅事業者を選ぶようにしましょう。

Q12.施工を依頼しようとしている業者が瑕疵(かし)保険に加入しているかどうかは、どのようにしたら分かりますか?

まずは、依頼する住宅事業者に、リフォーム工事瑕疵保険の登録事業者となっているか聞いてみてください。もし、登録事業者ではない場合には、お施主さまから保険法人への事業者登録と保険加入を促していただくこともできます(別途費用等かかる場合があります)。
また、弊会のホームページでも、予めリフォーム工事瑕疵保険の事業者登録をしている住宅事業者を検索することもでき、その中から住宅事業者を選択する方法もあります。
(一社)住宅瑕疵担保責任保険協会の登録事業者の検索ページ
https://www.kashihoken.or.jp/individuals/kizon/search/
【検索方法】
(1)「検索する商品の種類」から「リフォームかし保険」を選択
(2)「検索するエリア(都道府県)」から対象住宅の所在地(都道府県)を選択
(3)検索ボタンを押すと、リフォーム工事瑕疵保険の登録事業者の一覧が出てきます。連絡先や事業者のホームページのリンクのほか、保険の利用実績等もありますので、複数社に対象となるリフォーム工事が可能か確認していただき、可能であれば保険加入のうえで工事する場合の見積りを依頼してください。

一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会 概要

団体名 一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会
所在地 東京都港区西新橋二丁目8番4号 寺尾ビル2階
創立 平成20年12月17日
代 表 梅田 一彦
ホームページ https://www.kashihoken.or.jp/
TOPへカエル